ステンレス髑髏×黒瑪瑙ブレスレット「一里(いちり)」
【コンセプト】
髑髏(どくろ)と聞くと、忌避したくなる方も多いかもしれません。
しかし、私たち長岡念珠店があえてこの意匠を選んだのには、ある先人の逸話が深く関わっています。
室町時代の禅僧、一休宗純。 彼は賑わう正月の街を、竹竿の先に「野ざらし(髑髏)」を掲げて練り歩いたと言われています。
その時に詠まれたのが、あまりにも有名なこの歌です。
「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」
一見、お祝いムードに水を差す奇行に見えます。しかし、一休禅師が伝えたかったのは、単なる死への恐怖ではありません。 「死は確実に近づいている。だからこそ、今この瞬間をどう生きるか」 という、生への強烈な問いかけであり、エールだったのです。
【素材と意匠について】本来、骨はいずれ土に還るものですが、この髑髏はステンレス製です。
錆びず、朽ちず、汗や水にも強い。そこに、迷いのない漆黒の天然石を合わせました。
これは、仏具としての伝統的な装飾というよりは、現代の生活の中で「道具」として使い倒せる、無骨な頑丈さを重視した結果です。
【作り手より】
私自身、日々の仕事や、地域の活動で様々な年代の方と接していると、月日の流れの速さに驚かされることがあります。昨日まで元気だった方が急に体調を崩されたり、あるいは子供たちが驚くほどの速さで成長していったり。
そんな光景を目の当たりにすると、「自分はあとどれくらい、この仕事を続けられるだろうか」と考えずにはいられません。ふとそう思ったとき、手元にあるこの髑髏は、不吉な象徴ではなく、自分が今どこに立っているのかを確認するための「一里塚(マイルストーン)」のように感じられます。
これを身につけたからといって、寿命が延びるわけでも、運気が上がるわけでもありません。
ただ、忙しい日常の中でふと手首の「一里」を眺め、「さて、今日も丁寧にやろうか」と背筋を伸ばす。
そんな、人生の旅路に寄り添う相棒のような道具として、お手元に置いていただければ幸いです。



